2008年オリンピックの開催地はいんちき玩具の本拠地である中国(北京)ということで、中国では公式キャラクターである「福娃(FUWA)」の"非公式"玩具が次々と発売されています。
僕は仕事の関係で「北京オリンピック関連のいんちき玩具」を収集する事になりました。
変型好きの僕としては玩具店に入る度に「有没有 変型的福娃?(変型する福娃ある?)」と尋ねてまわったのですが、出てくる物は正規ライセンス商品のコピー品や「福娃」が印刷されたミニカー、ソフビ人形あたり。仕事的なネタとしては十分なのだが個人的には「ビビッ」と来る物がありませんでした。

「変型福娃なんて無いか」とあきらめかけていた時に、発見したのがコレ。

その名も「変型娃」でした!

ただ、これは「変型」とはいっても実際はポーズを変えるだけというアイテム。
四角い胴体と繋がった手足や頭部の位置を変えて遊ぶもので、決まった変型パターンもありません。


ちなみに元ネタは幼児向け玩具で、
頭部が動物やアンパンマンのキャラクターになっているもの。
日本では食玩売り場などで売られていました。

それでも変型好きの意地で遊び倒してみました。

上段左:聖火をモチーフにした火の化身「歓歓(ホァンホァン)」は飛行モードをイメージ。
上段右:パンダをモチーフにした森の化身「晶晶(ジンジン)」はビーストモード風に。
中段左:魚をモチーフにした水の化身「貝貝(ベイベイ)」は潜水艦っぽく。
中段右:ツバメをモチーフにした空の化身「??(ニーニー)」は飛行モード、頭を尾翼に出来れば良かったんだけど。
下段左:チベットカモシカをモチーフにした大地の化身「迎迎(インイン)」はパンダよりスマートな感じのビーストモード。

変型的には無理矢理感はありますが、手足の移動軸は面白く(これは元ネタのポイントですが)いじっているとけっこうクセになります。

ということで「コレは変型もの」と自分を納得させかけた翌月、ふたたび訪れた上海の店先でコレに出会ったのです。


なんと合体!
こういうのを待っていた〜!

ネタで大げさに言うのではなく店頭で「ギャァ〜ッ!」と声を上げてしまいました(笑)。
一瞬、声に驚き引き気味だった店のおばちゃんでしたが、僕のリアクションがこの商品を見ての物だと気づくと、ニヤリと笑いながら
「アンタが探してた変型福娃だよ?」
と、店頭に二つあるうちの不良品の方を勧めてきました(笑)。
(当然、良品の方を選んで買った)

合体形態では「晶晶」が胴体部分となり、腕として「歓歓」「貝貝」が合体、足に「??」と「迎迎」が合体します。
(余談だが、各福娃の頭文字を、「魚」「パンダ」「火」「ツバメ」「カモシカ」の順に並べると「貝・晶・歓・迎・?」となり「北京歓迎?(ようこそ北京へ)」となる)
通常アジアのいんちき玩具では、商品そのものの「元ネタ」が存在しますが、コレにかんしては頭部が「トランスフォーマー」のエクシゲイザーのデザインである以外は出自が不明。まったくのオリジナル商品である可能性があります。
両肩にミサイルを発射可能なランチャーを装備、分離時に使用するキーパーツが付属します(後述)。
手足となる4体は胴体パーツが共通ですが、腕合体時のジョイントが「歓歓」「貝貝」の後頭部に、足合体時のジョイントが「「??」と「迎迎」の頭頂部に存在するため手足の入れかえ合体は出来ません。

分離後の福娃はロボットアレンジがされており、中でも胴体部分の「晶晶」はほとんど面影がないほど(笑)ですが、かろうじて「パンダなんだなぁ」と思わせる意匠が見られます。


(それぞれ画像左側が分離形態、右側は変型娃)

分離後の各ロボの手足はかなりフレキシブルに可動します。(手首の横ロールが無いため掌は正面を向いた状態にしかならないが)
また「晶晶」の頭部に付いた笹の葉風のパーツは、オリジナルが頭頂部も含めた3カ所であるのに対して、左右の2つになっています。


胸の中心にある鍵穴にキーパーツを差し込む事で両腕が勢い良く分離!
最近、中国玩具で人気のキーボッツギミックが取り入れられている。

さて、この合体福娃こと「福星鎖核金剛(FUWA FIVE UNITE ROBOT)」ですが、見ての通り福娃が合体するというアイテムなのですが、商品のどこにも「福娃」という文字が無く(英語表記の「FUWA」はある)、パッケージの分離状態のイラストも全てシルエットという念の入れよう(?)。


オリンピックで厳しくなる(のか?)模造品規制を意識したものなのかもしれませんが、個人的にはパッケージに描かれたカッコイイ合体形態のイラストのように、メカアレンジされた福娃のイラストが見たかった気がします。